皆さま、ゴジラはお好きですか?
私は大好きです。

中でも「ゴジラ対ヘドラ」が最大級に好きです。
この映画は、幼い私に永遠の傷を与えました。

現在の私の行動原理は、全てこの映画から得たかもしれません。
そんなゴジラ映画がリメイクされたらいいな・・・私は長年に渡って妄想しました。

よって以下のような脚本を作りました。
私の妄想 現代版「ゴジラ対ヘドラ」です。
よろしかったら御一読ください。



  ゴジラ 対 デジタルヘドラ



 21世紀はじめ、コンピュータ技術は発展し、ネットワークは成熟した。あらゆる情報がデジタル化され、膨大なデータを管理仕切れる者はいなくなった。個々の端末には、デジタルのゴミや駆除されたウイルスが蓄積された。
 少年がネットワークゲームに興じている。そこに不思議な<陰>を発見する。その<陰>は設定変更が可能だった。レベルを上げていくとゲームは少年の意のままに進んでいった。<陰>の姿は、黒い固まりに赤い一つ眼のようだった。
 噂は広がり、少年の友達、さらに同世代の子供達がその<陰>を使用しはじめた。ネットワークゲームは、<陰>対<陰>の戦いになった。そして勝利した者が進化し続ける<陰>を手に入れることが出来た。

 産業廃棄物の集積場。コンピュータをはじめあらゆるデジタル機器が捨てられている。完全に壊れた物だけでなく、世代が変わっただけでまだ稼動する物もある。夜の闇の中で一台のコンピュータの電源が入った。激しい音を立ててハードディスクが回転を始める。次々に電源が入り始める。集積場の機器はうなり声を上げる。異常な気配を感じた警備員がやってくる。すると触手のように伸びたケーブルがからみつき絶命させてしまう。
 この事件に対し、警察はコンピュータ技師とともに捜査を開始する。技師は少年の父親であった。技師は、付近の機器を調べるが何の手がかりも得ることが出来なかった。
 少年は、今夜もネットワークゲームをしている。塾が終わり寝るまでの時間帯がネットワークゲームに参戦してくる仲間が増える。父親は呆れた様子で家を出る。事件の起きた同時刻に現場を調査するためだ。
 ゲームは白熱していた。そしてその最高潮の時、集積場を調査していた技師を触手のようなケーブルが襲う・・・・。

 翌日、技師である父親は助かった。しかし傷を負い、自宅で休むことになった。父親はゲームに興じている息子を見ていた。そしてその画面に映る黒い<陰>に唖然とした。少年は、<陰>の存在を自分が育てたものだと自慢げに語った。しかしそれは、昨夜、自分を襲った触手と同じような姿をしていたのだ。父親は、息子のコンピュータの電源を切った。少年は怒った。父親が説明することに納得がいかず、家を出てしまった。

 少年は集積場にたどり着く。集積場の機器は全てうなり声を上げて稼動していた。ケーブルが飛び交い、廃棄物は動き始めた。だんだんと固まりになっていく、ぼろぼろと崩れる破片をケーブルが寄せ集めていく。巨大な固まりはプラスチック、ビニール、金属からなっている。黒い固まりの中で、キラキラとした光を発している。固まりは小さなビルほどの大きさになった。中央には赤く光る一つ眼がある。まるでゲームで育てた<陰>のようである。少年は立ちすくんだ。固まりは動き始めた。しかし、送電線に触れると崩れてしまい、もとの廃棄物に戻ってしまった。



 翌日、街は廃棄物の大量な移動の噂でいっぱいになった。特に深夜徘徊をしていた不良の若者たちは、興奮し、自分たちが目撃したものを自慢げに語り、騒いでいた。テレビでは、原因不明のこの事件の情報を求めていた。

 夜、少年はまたネットワークゲームを楽しんでいる。しかし、これまでと違い、<陰>の操作は思うように出来なくなってきた。単なるエラーではなく、自らの意志で<陰>は動き始めた。突然、画面から<陰>が消えた。
 深夜の集積場にまた巨大な固まりが出現した。暴れ始める固まりに対して、警察官たちは発砲した。破壊される街、無力な警察。不良たちは、それを見て大喜びしている。軍隊が到着した。謎の固まりに対して、強力な攻撃を開始し始めようとしたところで、固まりは消えた。興奮した不良たちは、謎の怪物を賞賛し、その姿をスプレーで街のあちらこちらの壁面に描いた。

 翌日、怪我を負いながらも父親は、原因究明のために研究していた。自分を襲った現場で拾われた壊れたハードディスクを分解する。すると、ハードディスクの内部は見たことの無い腐食をしている。さらに腐食は目に見える速度で進んでいった。父親は、この現象を大学の研究所に報告し、成分の分析をしてもらうことにした。

 深夜、巨大な固まりは、集積場ではなく、街の中心部に出現した。今回の固まりは、廃棄物からではなく、街中のコンピュータ、デジタル機器、ケーブルなどから、構成されていた。街中のビルのガラス窓は壊れ、ケーブルが垂れ下がっている。ケーブルは全て怪物につながっていた。怪物は、腕のような触手で、ビルを破壊していく。するとそこからさらにデジタル機器が吸い出され、怪物の体の一部となっていく。怪物は次第に巨大化していった。軍隊が攻撃を始める。怪物に砲弾が当たると怪物の体はバラバラと音を立てて崩れていった。怪物は消滅したが、後には大量の廃棄物の山が出来た。とどめを刺したと喜ぶ軍隊。不良たちは英雄が消えたと悔しがる。

 その様子を少年はテレビで見ていた。父親に原因を尋ねる。父親は、怪物は知能を持ったコンピュータウイルスなのではないかと仮説を述べた。

 翌日、大量の廃棄物は集積場に集められた。テレビのレポーターが、この廃棄物から怪物が出現しないのかと質問する。それに対して、軍の司令官は、電源になる全ての物を遮断しているから安全だと主張する。
 夜、少年はゴジラの夢を見る。父親は少年が遊んでいたパソコンを調べる。父親は驚く。「何だ? このプログラムは! こんなプログラムを実行していたなんて・・・」
 大学の研究室では、謎の腐食の成分分析をしている。教授が驚く。
「なんと言うことだ! これは、ヘドリウムではないか!」

 翌朝、大学の研究所から教授たちが訪れる。調査の結果、謎の物質は、<ヘドリウム>という自己増殖する地球外の金属であると説明した。父親も、今回の怪物の増殖はネットワーク上の<陰>と呼ばれた怪物の増殖が一致していると、説明した。同席していた軍の司令官により、怪物は<ヘドラ>と名付けられた。
 少年が、父たちに告げる。
「ゴジラが来るよ! 僕は夢の中で見たんだ。」
 大人たちは笑い始める。



 深夜、集積場に不良たちが集まっている。不良たちは、ヘドラを讃え、歌っている。コンピュータウイルスの名前を連呼し、ヘドラは社会を破壊し、自由を手にする、俺たちの仲間だとラップ調に叫んでいる。あたりはスプレーの落書きだらけ。自動車のヘッドライトが廃棄物を照らし出す。すると一本の触手が伸び、自動車に絡みつく。バッテリーが少ないながら動力源になったようだ。触手が無数に伸び始めた。道を渡り、あらゆる電源に接続し始める。不良たちは大喜びする。

 ヘドラは、復活した。以前よりさらに大きくなった銀色の体は、破壊力を増していた。ビルを破壊するたびにデジタル機器を吸い上げ、自分の体に取り込み、増殖していった。深夜の繁華街は混乱を極めた。逃げまどう人々、触手は人命も奪っていった。ヘドラは光輝いていた。
 不良たちは喜び、携帯電話で仲間と連絡を取り合おうとした。しかし、ノイズばかりで、電波は通じなかった。ヘドラは、電波をも吸い上げ、自分のエネルギーにするように進化したのだった。電波の不通により、軍も街も大混乱になった。

 港に高波が押し寄せた。不良たちは逃げまどった。それはゴジラの出現によるものだった。伝説の怪獣ゴジラは巨大で、歩くたびに地面は大地震のように揺れた。巨大な叫び声が人々の耳を貫いた。ゴジラは、デジタルに近づいていった。

 ヘドラは体の向きを変えることなく、一つ眼のように見える赤いセンサーをゴジラに向けた。デジタルヘドラの体はアメーバのように形を変えることが出来た。ゴジラは、自分よりも巨大な敵に対して、尻尾を振り上げ、叩き付けた。デジタルヘドラの体はバラバラと砕け、崩れていった。しかし、崩れた体はすぐにつながり復元していった。ゴジラは何度も攻撃するが、効果は無かった。ゴジラは、デジタルヘドラの眼をつぶそうと手を眼球部分につっこむ。しかし、眼球のような明確なものはなく、内部もガサガサと音を立てるだけで感触がなかった。ゴジラは手を引き抜こうとした。しかし、多数の細かな触手がゴジラの腕を突き刺していた。デジタルヘドラはゴジラを自分の体に取り込もうとしていた。
 勢い良く腕を引き抜くと、ゴジラの腕からは体液が流れ出た。ゴジラは引き下がったが、デジタルヘドラはその形状を変え、ゴジラの体全体を包み込んでいった。ゴジラは包み込まれた。もがき苦しんでいる。無数の触手がゴジラの体を突き刺していく。両者の動きは止まった。
 そのとき、ゴジラは口から火炎放射を発して、ヘドラを払い落とした。さらに離れたヘドラに対して火炎放射を浴びせる。ヘドラは崩れ落ちた。完全にバラバラになった体は、単なる廃棄物になった。ゴジラは、体中に突き刺さった触手を引きちぎる。体液が流れ出る。そしてヘドラの残骸を踏みつける。ゴジラは海へ消えていく。

 軍が到着する。しかし全ては終わっていた。後に残った残骸処理を始める。ヘドラは消滅したのだろうか。



 数日後、ゴジラが別な港に出現した。出動した軍はゴジラに対して攻撃した。しかし現場には原子力発電所があり、自ら原発に攻撃を加えることが出来ず、攻撃は中止された。ゴジラは、原発を破壊した。施設からは放射能が拡散した。ゴジラはそれを全身で浴びて、体に取り込んだ。ゴジラの体は赤く発熱した。ゴジラは原発を次々と破壊していった。国中が原発難民で混乱していった。

 夜になると、複数のヘドラが全国各地に出現した。軍による攻撃が繰り返されたが、効果は上がらなかった。ヘドラが出現すると、電波機器、デジタル機器がいっさい使用不可能になるからだ。よって旧式の武器に頼るしかなかった。最も有効な方法は、ヘドラが引きずるケーブルを人により切断していくことだった。しかしこの方法ではヘドラの動きを弱めるにすぎなかった。

 ヘドラの発生にはネットワークが関わっていると発表された。全国民にネットワークの切断を呼びかけた。ヘドラの出現件数は減っていった。

 全国に出現したヘドラは、太平洋側の工場地帯へ集まり始めた。そして複数のヘドラが集合体となり以前よりもさらに巨大になっていった。ヘドラはハイテク工場を飲み込みエネルギーを蓄えていった。



 夕日の中、ゴジラが現れた。工場地帯を歩いていく。そしてヘドラと向かい合う。

 対決が始まる。ゴジラが直接攻撃をかけると、ヘドラは怪光線を発した。ゴジラが倒れる。不良たちがヘドラの勝利を喜ぶ。軍は両者に対しての攻撃をしなかった。どちらかが確実に消滅するまで待つ作戦である。
 ゴジラは立ち上がる。また怪光線が発せられる。ゴジラは避ける。両者のにらみ合いが続く。巨大なヘドラは変形し、ゴジラを包み込もうとする。ゴジラは火炎放射を浴びせる。その威力は以前よりも強力であった。ヘドラの眼球に集中攻撃をする。そして体はバラバラに吹き飛ばされた。廃棄物が散らばる。廃棄物はうごめき、再生を始める。ゴジラは廃棄物を踏みつける。さらにとどめとして火炎放射を浴びせる。廃棄物は燃える。辺り一面が火の海となる。ドロドロと熔けるヘドラ。もはや姿は無くなった。ゴジラは勝利した。
 夕日の中、海へ向かう。

 ゴジラの後ろの立ちこめる煙の中、ドロドロに熔けた廃棄物から巨大な固まりが出現した。焼けただれた合成樹脂、金属の固まりは、かつて日本を襲ったヘドロの怪物と同じ形をしていた。全身は溶けながらも再生を繰り返し、ただれた2本の触手は腕のように見える。眼球は赤く、2個に増えていた。瞼が左右に開閉している。ヘドラがさらに進化したのだ。ゴジラが振り返ると、ヘドラの口からガスが吹き出された。ガスはダイオキシンや放射能からなる強烈な毒を持っていた。それまで見物していた不良は、ガスにより全身が溶けて死んでしまった。軍は撤退していく。ゴジラは再び倒れた。

 ゴジラはそれでも立ち上がり、ヘドラに掴みかかった。ヘドラの体を振り回し、体の一部を引きちぎっては投げた。しかし、引きちぎられた体はすぐに再生した。ゴジラは火炎放射を放った。しかしヘドラはそれを吸収し、さらに強力な猛毒を吐き続けた。ゴジラの攻撃は効き目が無かった。
 ヘドラは、ゴジラを無視して移動を始めた。その先には、少年と大人たちがいた。早く逃げなければ、ヘドラにやられてしまう。そのとき、ゴジラはヘドラを後ろから抱きかかえるように押さえた。ヘドラがガスを吐くが、ゴジラは後ろにいるにで攻撃出来ない。ガスの勢いでゴジラは後ろに下がっていく。
 ゴジラはヘドラを抱きかかえたまま、火炎放射を出した。すると、ゴジラとヘドラは浮き上がり、ロケットのように空中を飛んだ。ゴジラは全力で火炎放射を続けた。ヘドラを抱きかかえ、後ろ向きに飛行する。
 ヘドラは、ガスをゴジラに吐きつけるために変形を始めた。赤い眼球はヘドラの内部を移動し、ゴジラ側で開く。その眼はニヤリとしているように見える。口もゴジラ側に移動し、ガスを噴出させようとしたとき、ゴジラとヘドラが轟音とともに着地した。巨大な振動が辺りを襲う。

 着地したのは、富士山であった。ゴジラはヘドラを引きずり山を登っていく。ヘドラはガスを吐く。ゴジラの腕、顔はただれていく。それでもゴジラはヘドラを引きずり上っていく。山頂につくとゴジラはヘドラを火口に投げ込んだ。するとゴジラは、ヘドラではなく、火口の地面に向かって火炎放射した。何回も何回も地面に向けて放射した。地面は砕け始めた。地中から蒸気が噴き出し始める。ゴジラはさらに放射し続ける。ついに地響きとともに溶岩が吹き出し始める。ヘドラは溶岩の中でもがいている。



 夜、富士山は活火山として噴火し始める。繰り返される大爆発。遠くからは、赤く吹き出す噴火口にゴジラの影が見える。ゴジラは雄叫びを上げる。
 無力な人間たち、軍はゴジラに対する攻撃を開始命令を待っていたが、司令官は撤退命令を出した。火山の噴火に耐えるような怪物に攻撃など無意味だと判ったからだ。
 ゴジラ傷つきながらも、悠然と歩き、海へ帰っていった。

 夜、少年と父親が話している。テレビは被害状況を報道している。
「ヘドラはもう死んだの?」
「ああ、もう現れないだろう。しかし、人間は未知の物を作り出す。そのものによっては、またヘドラが現れるかもしれない。」
「ネットゲームはもうやめたほうがいいよね。」
「そうだな。しばらくは電源も付けない方がいいだろう。もう寝るぞ。」
 テレビと部屋の灯りを消し、少年は部屋を出ていく。部屋は真っ暗になったが、部屋の隅のコンピュータが勝手に起動する。真っ暗な画面に赤い眼が光る・・・。

おわり?



この文章は、2004年に書いたものです。
当時のPC環境の不気味さを描きました。
しかし、10年後の2014年現在、インターネットおよびPC環境はさらに不気味になりました。
ここらでデジタルヘドラが現れ、全てをぶち壊してくれるのを願っているのは、
私だけでしょうか?




Godzilla v.s. Digital Hedora
2014.08.01 Fri l 文化 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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